我が家で使用中の鎌倉彫 |
そんな漆ですが、一旦乾けばかぶれることもありません。室内や地中など紫外線の当たらない場所に保存された場合の漆膜の耐久性は4千年とも5千年とも言われ、古代の出土品がそのことを証明しています。
漆掻き |
漆を扱っている人に長生きの人が多いと聞きますが漆は漢方薬の一つだそうです。
韓国では現在でも漆を民間薬として利用しているようで、中国でも漢方薬としての漆の利用の研究が進んでいるそうです。
確かにいろんな書物を調べてみると漆の薬効の事が書いてあります。胃酸過多、扁桃腺炎に効く他、内臓機能向上、虫下し、咳止め、通経、 止血、血行促進、滋養強壮の効果、抗腫瘍性、抗HIV性、抗菌性、 殺菌性もあります。
ドイツでは国家プロジェクトとして漆に含まれる酵素のラッカーゼを利用しての抗ガン剤の研究が進んでいるそうです。
漆は塗料や接着剤として昔から利用されていますが、最近抗菌性があることがわかり注目されています。福井県工業技術センターの漆の抗菌性の研究で、漆塗膜には黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果があることが発表されました。黄色ブドウ球菌を漆塗膜につけ、24時間後に生菌数を調べたところ滅菌率100%で抗菌効果が認められたそうです。また京都でも同様の実験がなされ、こちらの実験では黄色ブドウ球菌の他に大腸菌、サルモネラ菌なども同様の結果が得られたとのことです。
漆器に付いた大腸菌は24時間後にほぼ死滅するなど、漆に優れた抗菌効果があることが金沢工大環境・建築学部の比較実験でも明らかになりました。
漆は古くから防腐、防虫効果があると言い伝えられてきたが、プラスチック樹脂など生活用品に用いられる他の素材と比べた結果、大きな効果が確認された。それによると、実験には、黒、朱塗りの輪島塗と山中塗、伝統的工法によらない単純な漆膜、ポリウレタンなどの樹脂、桜や杉、ヒノキなどの木材計30種類を用意。5cm四方にした実験材料に大腸菌群とカビをそれぞれ付着させて気温36度の下で24時間放置し、菌数を比較した。
プラスチック製品に使われれるポリプロピレン、ポリウレタンなどは大腸菌群がほとんど減少していなかったのに対し、漆器と漆膜は平均約1000分の一に減少した。漆の抗菌活性値は、JIS規格の抗菌加工製品として認められる2.0を大きく上回る3前後を記録した。カビについても一定の抗菌性が確認された。
木材では、ヒノキやヒバ、アテで菌の減少が認められた。大腸菌群とカビをそれぞれ加えた培養液に漆膜を浸した実験では、菌の増加が漆膜を入れない培養液に比べて2分の1に抑制されることも分かった。漆の主成分であるウルシオール自体に殺菌効果があるが、培養液からは検出されなかった。このことから小川教授は、ウルシオールが水に溶解してでき化合物も殺菌作用に大きく関係していると考察した。
プラスチック製品の多い中、改めて自然素材の漆を使った木製の漆器をお薦めする次第です。
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